「斎藤空也は本当に酷いわ、人の命を賭けて冗談を言うなんて!」佐藤若菜は吐き気を催した後、斎藤遥の腕をきつく掴み、思わず体が小刻みに震え始めた。
「社長室のスタッフに確認に行かせたところだ。今は医者からの連絡を待っているところだ」遥は彼女を抱きしめ、優しく慰めた。
彼が最初にその写真を見たとき、怒りに震えた!
空也がどんな手を使おうと、遥はすべて受け止められる!なぜ人の健康を犠牲にしなければならないのか!それも命までも!
「部長、また新たな患者が発見されました。すでに病院に搬送されています。群衆の中で誰かが患者の家族の感情を意図的に煽っており、家族とメディアが会社に向かって来ています!」社長室のスタッフから最新情報が届いた。
「遥?あなたが出るの?それとも広報部?」若菜は彼の手をきつく握り、心の恐怖を抑えながら緊張した様子で彼を見つめた。
「俺が行く!」遥は彼女を見つめ、静かに言った。躊躇いも動揺もなかった。
「うん!」若菜は下唇をきつく噛みながら、小さく頷き、二人一緒にオフィスへ向かった。
「エイミー、後でメディアに対応するから一緒に来て!」
「渡辺おじさん、私たちの商品の品質検査報告書のコピーを全部用意して広報部に置いておいて」
「新一、警備部に連絡して、メディアや怒っている家族が来たら、止めずに丁寧に案内するように」
遥は冷静に指示を出した後、エイミーを連れて1階のロビーへ向かった。
「遥!」若菜が一歩前に出た。
「若菜、安心して、ちゃんと対処するから。あの写真はもう見ないでくれ」遥は彼女の肩を軽くたたき、心配そうに言った。
「わかってる。遥、こういう状況では、一つの態度しかとれないわ。それは『耐える』こと。相手がどんな態度でも反撃せず、警備部の人たちは絶対に手を出さないで!」若菜は念を押した。
「わかってるよ。これから君の旦那はかなり惨めな姿になるかもしれないから、見ないほうがいいよ。見ても、すぐに忘れてくれよ!」遥は軽く笑いながら身をかがめ、彼女の頬に軽くキスをしてから、エイミーを連れて下に向かった。
「延彦、病院のことは知ってる?どんな原料がそんな状態を引き起こすの?」若菜は遥が出て行くのを見ると、すぐに斎藤延彦に電話をかけた。
「知ってる、今調査中だ!」延彦の声は急いでいて短かった。