第361章 私を三兄と呼んでくれることを期待している(4)

「私も嬉しいわ!今回は、今までとは違って、全力を尽くす必要があるわよ!」斎藤遥はゆっくりと彼女の手を離し、じっと彼女を見つめた。

彼女は知っていた。彼の目には、今回は嫌悪や回避の色がないことを。それは純粋な賞賛と信頼だった。

佐藤若菜の受け入れのおかげだろうか?

ふふ、彼女と彼の関係は、永遠に若菜の意志の上に成り立つものでしかない——それなら、このままでいいか!

「わかったわ!」

「若菜さん、私、先に行きますね」鈴木瑛子は軽く頭を下げ、自分に微笑みを向けると、背を向けて去っていった。

「若菜、仕事一筋だった瑛子が戻ってきたように見えるな」遥は会議テーブルの前にいる若菜に向かって言った。

「あの瑛子はずっといたわ。ただしばらくの間、あなたに甘やかされていただけよ!」若菜は微笑みながら彼を見た。

「君ったら!」遥は彼女を見て首を振った——彼の前では、彼女は少しも大らかではなく、少しも譲歩しないのだ!

「部長、品質検査報告書がネット上で広まっています!消費者が店舗を破壊し始めています!取引先も返品を要求し始めています」渡辺新一が外から電話をかけてきた。

「店を壊すなら壊させておけ!カスタマーサービス部に各取引先と連絡を取らせ、同じロットの商品を速やかに本社の倉庫に返品させろ。返金額を会社に預けて次回の注文に使うなら、会社は0.05%の利息を支払う。現金での全額返金も可能だ」遥は冷静に指示を出した。

「部長、株価が少し変動し始めています。しかし、奇妙な資金が投げ売りされた株を徐々に買い集めています」瑛子が証券部から電話をかけてきた。

「脅威にならない状況なら、とりあえず無視していい。売却が5%に達したら、取引停止を申請しろ。すべてのデータを田中社長が派遣した若い者に渡して、彼の意見を聞いてみるといい」遥の目が微かに光った:誰だ?知らないうちに侵入しようとしているのは?

もしかして、この事件による株価への影響を利用して、斎藤氏を買収しようとしているのか?

斉藤空也の資金は100店舗の購入と内装に使われた後、残りの金額では斎藤氏の2%の株式さえ買えないはずだ。田中蕎子と神宮寺天誠以外にも、他のパートナーがいるのだろうか?