第362章 私を三兄と呼んでくれることを期待している(5)

「皆様こちらへどうぞ！」

一同が会議室に入ると、斎藤遥の姿を見て、思わず再び大爆笑した——この粋で洒落た斎藤家三少爺が、こんな姿になるなんて、まさに百年に一度の珍事だ！

「斎藤部長、ご自身をこのような姿にして記者会見に臨むのは、皆の同情を買おうというおつもりですか？」まだ正式に始まってもいないのに、すでに記者が難癖をつけ始めた！

「私には同情どころか、どこか災難を喜んでいるような感じがしますね。もしや真相をご存知なのでは？だとしたら、鈴木警部の捜査にご協力いただくべきでしょうね」遥は鋭く返した。

このような蝿どもには、どれだけ弱みを見せても、わざと難癖をつけてくるだけだ！こういう連中には、情けをかける必要はない！

「同情しないのは、斎藤部長のこの姿があまりにも演出じみていると思うからです！それに、被害を受けた消費者こそが、本当に同情されるべきだと思います」その記者は当然、彼の一言で黙るような相手ではなかった。

「よく言った。消費者が同情に値すると思うなら、我々に事実を明らかにする機会を与え、警察の捜査に協力して、本当に人々を害した者を見つけるべきだ。ここで消費者を誘導して、真犯人を野放しにし、さらに多くの消費者に苦痛と災難をもたらすべきではない！」遥は冷ややかに言った。

「では拝見しましょう。斎藤部長の言う『事実』が本当の事実なのか、それとも言い逃れなのか！」その記者は悠然と座った。

遥は微笑み、それ以上は何も言わなかった。

15分後、すべての記者が揃い、広報部マネージャーは遥の指示に従って会議の開始を宣言し、まず遥が声明を発表することになった。

カメラに向かって、遥は負傷した顔と包帯で吊るされた片手で、低い声で言った。「皆さんはすでにニュースをご覧になったことでしょう！今回のジメトキシベンジジン事件について、私個人も、斎藤氏全体も、非常に痛ましく、また怒りを感じています！まず、この事件によって被害を受けた消費者の皆様に、心からお詫び申し上げます！」