第389章 あなたが上がってくる(2)

斎藤遥は自分の唇を軽く離し、彼女の柔らかく温かい首筋に顔を埋めてしばらくしてから、再び顔を上げた。自分が乱した布団を彼女のためにきちんと掛け直してから、低い声で言った。「わかった！じゃあ行ってくるよ」

遥が出て行った後、佐藤若菜はしばらく布団の中で丸くなっていたが、やがて携帯を取り出してその写真を開き、指で画面をタッチしてズームした。写真の背景は証券部のオフィスだった！

誰かが彼女を利用して鈴木瑛子を陥れようとしているのだ！

確かにその写真は一瞬彼女の気持ちに影響を与えたが、それは無意識の不快感に過ぎず、遥と瑛子の間に何かあるのではないかと疑うことはなかった！

もし4年前なら、彼女はその写真を送信者に直接返信していただろう：「この写真を持ち主に送ってください！」そして、遥に何があったのか尋ねていただろう！

しかし今、彼らの間にあれだけ多くのことが起きた後では、もし彼女がまだ遥を信頼できないのなら、彼女は本当に彼の妻である資格がないだろう。

そして過去も現在も、彼女はそのことで直接瑛子に難癖をつけることはないだろう！写真を送った人が彼女の手を借りて瑛子を攻撃することを成功させるつもりはない。

だから、写真を送った人は明らかに彼女のことをまだ十分に理解していないのだ！

しかし、今の彼女はその人物が誰なのかを調査するためにさらに時間とエネルギーを費やしたくはなかった。瑛子自身が引き起こした問題なのだから、彼女自身に対処させればいい！成長の過程では、このようなあからさまな攻撃や陰謀に遭遇するものだ。避けられれば、修行を積んで強くなる！避けられなければ、刃の下の犠牲者となる！

それに、これらは全て彼女とは関係のないことだった。今、彼女の注意は全て斉藤空也とのこのゲームに向けられていた——今や全てのリソースを使い果たし、一体誰が勝者となるのか？

携帯を見ながら、若菜は画面上の遥の写真を指でタップし、独り言を言った。「ふん、横顔もなかなかかっこいいじゃない。自惚れるのも無理ないわね」そう言って、指を軽くスライドさせ、写真をゴミ箱に削除した。

携帯を置き、机の上のパソコンをベッドに持ってきて、斎藤氏の公式ウェブサイトを開き、明日の記者会見の議題を再度丁寧に確認した。心の中で考えていた。この公式発表が出たら、相手はどう対応するだろうか？