第395章 この世界は狂った(4)

斎藤蓮と葉山淑恵が到着した時、彼らが目にしたのは橘美織の導きのもと、事故現場から一歩一歩前に進んでいく佐藤若菜の記憶の様子だった。二人は目を合わせると、中に入って木村清美に挨拶をした後、先に立ち去った。

四十分後。

「そして、私たちは病院に到着し、医師による専門的な治療を受けました。彼らはみな治療を受けています。あなたが目を覚ますと、彼らに会えますよ。彼らはみなあなたを待っています！さあ、これから私が三、二、一と数えます。一と言ったら、あなたは戻ってきますよ！」美織の優しく、幻想的な声が徐々に明瞭になっていった。

「三……」

「準備はいいですか、戻りますよ！」

「二……」

「今、呼吸を整えてください。軽く吸って、軽く吐いて、そうです！」

「一……」

ベッドの上の若菜はゆっくりと目を開け、美織を見た瞬間、彼女に抱きついて泣き出した。

清美は口を押さえながらも、声を出して泣いてしまった。

傍らの医師は長く息を吐き出し、美織の催眠の効果に驚きと敬服の念を抱かずにはいられなかった——彼女は本当に患者の意識を導き、自分の指示に従って、あの経験を一歩一歩前に進ませたのだ。

「斎藤遥に会いたい、それから高橋尚誠にも」しばらくして、若菜はやや落ち着いた様子で言った。

「ええ、連れて行きますよ」美織はうなずき、清美と一緒に彼女を車椅子に乗せた。

「彼らはまだ目覚めていません。あなたの助けが必要です！」美織は部屋を出る前に、彼女の前にしゃがみ込み、じっと見つめた。

「わかってる、わかってるわ！」若菜は彼女を見返し、下唇を軽く噛みながら、勇敢に向き合おうと自分を奮い立たせた。

遥の病室。

「若菜が目覚めた！」斎藤琴乃は驚いて声を上げ、遥のベッドサイドから急いで駆け寄ってきた。

「若菜、お兄ちゃんに会わせてあげるわ！」琴乃は美織から車椅子を受け取り、急いで遥のベッドサイドへと押していった。「若菜、お兄ちゃんに話しかけて。きっとあなたの声が聞こえるわ」

琴乃はさっき止まったばかりの涙が、若菜を見た瞬間にまた流れ出した。

若菜は斎藤延彦を通り過ぎ、目に映るのは遥だけだった——全身にチューブが刺さり、包帯で巻かれた遥。