「林さん!」突然、後ろから声がした。
林悠が振り返ると、古い屋敷の大門が開き、お爺さんの介護士が入り口に立っていた。
「林さん、お爺様があなたを上に呼んでいます」介護士が出てきて、林悠が持ってきた絵を受け取った。
林悠はすぐに涙を拭き、介護士について中に入った。すると、リビングで林美芝も見かけた。
彼女は林美芝を無視し、陣内冷子に小声で言った。「お爺さんと少し話してくるわ、すぐに帰るから」
冷川お爺さんの状態はあまり良くなさそうで、全体的に疲れているように見えた。林悠を見ると、すぐに笑顔を浮かべた。
「お爺さん!」林悠は心配そうに近づいた。「最近どう?顔色がとても悪いわ」
「大丈夫だよ、お爺さんは元気だ」冷川お爺さんは無理に笑顔を作った。「左手で絵が描けるようになったのか?」