姉の誕生日パーティーの夜、林悠は仕組まれた罠にはまり、見知らぬ男のベッドに押し上げられてしまった。
その一夜で、彼女は富豪界で「最も恥知らずな女」と蔑まれ、そして――名門・冷川家の当主、冷川宴の妻となった。
しかし、結婚後に彼女が捧げた一途な愛は、冷たい屈辱と容赦ない嫌悪でしか返されなかった。
やがて、彼が長年心の底から想い続けてきた“憧れの姉”が帰ってくる。
冷川宴は、何の迷いもなく離婚届を突きつけた。
「冷川夫人の座は、本来の持ち主に返すべきだ」
さらに彼は、林悠を帝王切開させて子どもを奪い、不妊の姉にその子を渡した。
すべてを失った林悠は、ついに心を閉ざし、我が子を連れて遠くへ――彼の世界から、跡形もなく姿を消した。
数年後。
新たな結婚式の日、冷川宴はようやく真実を知る。
自分がずっと恋い焦がれていた“本当の憧れ”は、最初から林悠、ただ一人だったのだと。
「林悠――
もし愛が孤島なら、俺は喜んでそこで一生を共にしたい」