第59章 林悠は黄田珠美と一線を画す

誰がやったの?

林美芝?それとも藤堂淑美?

より正確に言えば、二人一緒だろう。

しかし、この二人のどちらが関わっても、冷川お爺さんに無限の面倒をもたらすだけだ。

林悠は得意げに顔を上げた。「お爺さん、安心して。島子はもう自分で仕返しをしたから」

「本当か?」お爺さんは半信半疑だった。

「本当だよ、島子がお爺さんに嘘をついたことなんてないでしょ」林悠はフルーツの盛り合わせを押し出した。「お爺さん、早く食べて。お爺さんが健康で長生きしてこそ、ずっと島子を守ってくれるんだから」

この言葉を聞いて、お爺さんの心は痛んだ。自分の残された時間が少ないことを知っていたが、二人の子供たちのことが本当に心配でならなかった。

陣内冷子は林美芝を自分の部屋に連れて行った。

「はぁ、どうやら私が何をしても、お爺さんは私のことを好きになってくれないわね」林美芝は苦笑いした。

これに対して、陣内冷子も手の施しようがなかった。「あの娘はお爺さんに何か惚れ薬でも飲ませたんじゃないかしら。気にしないで」

彼女はまだ林悠の手首を切った件が気になっていた。「そういえば、林悠は本当に手首を切ったの?なぜ?」

林美芝は困ったような表情を浮かべた。「彼女は宴と離婚したくなかったのよ」

「離婚のことが原因なの?」陣内冷子は目を丸くした。

彼女は思わず罵った。「あの生意気な娘め、私に強がって、お爺さんのためだなんて言ってたけど、明らかに自分が離婚したくないだけじゃない。本当に腹立たしい」

「実は、彼女の言うことも間違ってないわ。昨夜、宴も言ってたわ。もしお爺さんが反対していなければ、彼と島子はとっくに離婚していたって」

林美芝はすべての火の矛先をお爺さんに向けた。

陣内冷子の顔色は青ざめたが、お爺さんに対しては、どうしても厳しい言葉を口にすることができなかった。

林美芝はさらに油を注いだ。

「実は、宴が子供を望まないと言ったのも、彼らの結婚に完全に失望したからよ。本当に、あの時…」

彼女は小さな声ですすり泣き始めた。「私が去るべきじゃなかった。そうしていれば、私と宴の子供は今頃きっと歩けるようになっていたわ」

「もういいのよ、美芝。あの時のことはあなたのせいじゃない」