誰がやったの?
林美芝?それとも藤堂淑美?
より正確に言えば、二人一緒だろう。
しかし、この二人のどちらが関わっても、冷川お爺さんに無限の面倒をもたらすだけだ。
林悠は得意げに顔を上げた。「お爺さん、安心して。島子はもう自分で仕返しをしたから」
「本当か?」お爺さんは半信半疑だった。
「本当だよ、島子がお爺さんに嘘をついたことなんてないでしょ」林悠はフルーツの盛り合わせを押し出した。「お爺さん、早く食べて。お爺さんが健康で長生きしてこそ、ずっと島子を守ってくれるんだから」
この言葉を聞いて、お爺さんの心は痛んだ。自分の残された時間が少ないことを知っていたが、二人の子供たちのことが本当に心配でならなかった。
陣内冷子は林美芝を自分の部屋に連れて行った。
「はぁ、どうやら私が何をしても、お爺さんは私のことを好きになってくれないわね」林美芝は苦笑いした。
これに対して、陣内冷子も手の施しようがなかった。「あの娘はお爺さんに何か惚れ薬でも飲ませたんじゃないかしら。気にしないで」
彼女はまだ林悠の手首を切った件が気になっていた。「そういえば、林悠は本当に手首を切ったの?なぜ?」
林美芝は困ったような表情を浮かべた。「彼女は宴と離婚したくなかったのよ」
「離婚のことが原因なの?」陣内冷子は目を丸くした。
彼女は思わず罵った。「あの生意気な娘め、私に強がって、お爺さんのためだなんて言ってたけど、明らかに自分が離婚したくないだけじゃない。本当に腹立たしい」
「実は、彼女の言うことも間違ってないわ。昨夜、宴も言ってたわ。もしお爺さんが反対していなければ、彼と島子はとっくに離婚していたって」
林美芝はすべての火の矛先をお爺さんに向けた。
陣内冷子の顔色は青ざめたが、お爺さんに対しては、どうしても厳しい言葉を口にすることができなかった。
林美芝はさらに油を注いだ。
「実は、宴が子供を望まないと言ったのも、彼らの結婚に完全に失望したからよ。本当に、あの時…」
彼女は小さな声ですすり泣き始めた。「私が去るべきじゃなかった。そうしていれば、私と宴の子供は今頃きっと歩けるようになっていたわ」
「もういいのよ、美芝。あの時のことはあなたのせいじゃない」