第18章 冷川宴はあなたを信じるか、それとも美芝を信じるか

「あの時のことは、やむを得なかったのよ」

書斎から藤堂淑美の声が聞こえてきた。

林悠は外に立ち、ノックしようとした手が宙に止まった。

「ただ彼女がこんなに頑固だとは思わなかったわ。それにしても、あの時もし彼女があなたの娘じゃなかったら、それに彼女が...」

林美芝の声だった。後の言葉は林悠には聞き取れなかった。

「私も宴を手放す気にはなれなかったわ」林美芝はため息をついた。「今は二人が早く離婚して、すべてが正常に戻ることを願うだけよ」

「安心して、何の問題も起きないわ」藤堂淑美は確信に満ちた口調で言った。

書斎は静かになったが、林悠の頭の中はごうごうと鳴り響いていた。

だから彼女の推測は間違っていなかった?

藤堂淑美は本当に林美芝と共謀して、自分を宴のベッドに這わせたのか?