刑務所に向かう途中、冷川宴は林悠がずっと黙っていることに気づき、心配して尋ねた。「緊張している?」
「少しね」林悠は口元を引きつらせた。自分の過去が死刑囚と関係していたなんて想像もできなかった。
彼女は冷川宴に試すように尋ねた。「この林美芝という人は...人を殺したの?」
「ああ」冷川宴はうなずいた。「何人も殺した。それに...君のお父さんも彼女にほとんど殺されるところだった」
林悠は驚いて彼を見た。「私の家族と彼女は恨みがあるの?」
冷川宴は首を振り、少し考えてから言った。「彼女も林という姓だ。察しがつくと思うが、君たちは親戚だ。彼女は...君のいとこだ」
林悠はますます理解できなくなった。親戚なのに、なぜ人命を奪うところまで事態が悪化したのだろう?
さらに40分ほど経って、車はようやく停まった。
車を降りると、目の前には高い塀があり、少し威圧感を感じた。刑務所の警備員がすでに待っていた。
「こんにちは、林悠さんと冷川宴さんですね?」警備員は笑顔で近づき、二人と積極的に握手した。
「こんにちは!」二人は挨拶した。
警備員は林悠を見て、「冷川さんから聞きましたが、林悠さんは...記憶喪失なのですか?」
「はい」林悠はうなずいた。「だから電話番号も変わりました」
「大丈夫です。あなたたちが来てくれて本当に嬉しいです。林美芝の事件も数年経ちましたし、その間いろいろな問題がありましたが」警備員は苦笑いした。「今ようやく終わりを迎え、あなたたちに報告できることになりました」
林悠は口元を引きつらせた。空白の記憶に直面して、彼女はやはり戸惑いを感じていた。
警備員は二人を案内し、最後に一つの部屋の前に立った。外側の窓からは中の様子が見えるが、中からは外が見えないようになっていた。
林悠は短髪の女性がテーブルの向こうに座っているのを見た。痩せこけた姿で、目は生気がなく、体に合わない大きな服を着て、特に痩せて見えた。
彼女は声を低くして冷川宴に尋ねた。「あれが林美芝?」
「そうだ」冷川宴は驚きから我に返った。彼も3年ぶりに会って、林美芝がかつてのおしゃれで美しい金持ちの娘から目の前のような姿に変わっていることに驚いた。彼は人は結局自分の行いの代償を払わなければならないと感じずにはいられなかった。
林美芝もそうだし、彼自身もそうだった。