第109章 子供たちと口論する

「島子姉さん、島子姉さん」知秋は目を赤くして林悠のズボンの裾を引っ張った。「早く何とかして助けてあげて、春田生太郎お兄ちゃんはあの凧をとても気に入ってるの」

「大丈夫だよ」さっきまで凧をじっと見つめていた春田生太郎は、すぐに知秋の前に駆け寄った。「大丈夫、僕が大きくなったら、もっと大きくてもっときれいな凧を自分で買うから」

彼は知秋の涙を拭いてあげた。「秋は泣いちゃダメだよ、泣くときれいじゃなくなっちゃうから」

林悠は二人を見て少し心を動かされた。彼女は頭を上げて凧を見た。実はこの高さなら、あの人なら届くはずだ。

彼女はしゃがんで、少し離れたところにいる冷川宴を指さした。「あそこにいる人なら取れるはずよ。お願いしに行きましょう」

思いがけず知秋はすぐに林悠の後ろに隠れた。「嫌だよ、怖い人だもん」