「変なことを考えないで」
冷川宴は病室のドアを一瞥してから、やはり立ち去ることにした。
「私が来たのは、林悠の気持ちを断ち切らせるためだけだ。彼女に完全に諦めさせるために」
「本当?」林美芝は涙でぐしゃぐしゃになった顔で、哀れっぽく冷川宴を見つめた。
冷川宴はうなずき、彼女を腕から引き離した。「もういい、じゃあ先に帰るよ」
「わかった」林美芝は冷川宴が去るのを見送り、病室に戻った。
林悠は物音を聞いて、すぐに目を開けた。
来たのは林美芝だと分かり、彼女の目に残っていた最後の光も消えた。
彼女は顔を窓の方に向け、林美芝を無視しようとした。
「島子、どうしてそんなに馬鹿なの?」林美芝は勝手にベッドの横に座った。
林悠は黙っていた。
「今のあなたの状態なら、ファッションショーを諦めた方がいいんじゃない?」