ようやく目的地に着いた。
冷川宴は車から降りると、心も体も耳も解放された気がした。
冷川お爺さんは車の中で待っていて、二人で荷物を運ぶことになった。
冷川宴は思わず林悠に文句を言った。「まさかお前がこんなにうるさいとは思わなかった」
「まさかあなたがこんなに無口だとは思わなかったわ、無口な瓢箪!」林悠も負けずに言い返した。
利田燃が用意したものは非常に完璧で専門的で、完全に野外キャンプや一泊するための水準だった。
残念ながら、冷川宴はこういったものに全く詳しくなく、テントさえ立てられなかった。
「お兄さん、どいてください」林悠は見かねた。
冷川宴は恥ずかしそうに脇に退いたが、強がって言った。「お前ができるとは思えないけどな」
しかし予想外にも、林悠は説明書も見ずに、あっという間にテントの形を作り上げ、時々冷川宴に指示を出した。