第207章 お兄さんは林悠と結婚したくないの

「どうしたの?具合が悪いの?」深田確は林悠の目が潤んでいることに気づき、すぐに緊張して医者を呼ぼうとした。

「大丈夫よ」林悠は深田確の手首をつかみ、喜びのあまり涙ぐみながら言った。「彼らが蹴ってるの」

深田確は一瞬戸惑ってから理解した。林悠が言っているのはお腹の中の赤ちゃんのことだった。

彼は林悠を見つめ、彼女から溢れ出る生命力を感じることができた。彼は林悠が乗り越えたことを知っていた。

「初めて感じたの?」深田確は優しく尋ねた。

林悠はうなずいた。これは確かに彼女が初めて胎動を感じた瞬間で、初めて本当に赤ちゃんたちの存在を実感した瞬間だった。

だから、これまで何があったとしても、これからは彼女は一人じゃない。子供たちのためにしっかり生きていかなければならない。