林悠と冷川峰は声のする方を見ると、冷川宴と林美芝だった。
林悠は彼らのショッピングカートを見ると、中には赤い物ばかりが入っていて、明らかに新婚の準備をしているようだった。
彼女の心は苦く沈んだ。彼女が冷川宴と結婚した時は、何もなかった。
ウェディングドレスも指輪もなく、結婚式もなく、こういった縁起の良いものも何一つなかった。
だから、彼らの結婚はこんな悲惨な結末を迎えることになったのだろう。
冷川宴も当然、林悠の手にあるショッピングカートに気づいていた。中には生活用品が多く、しかも二人分だった。
彼はカートを押す手に力が入り、心の中の暗い感情を無視することができなかった。
「島子」林美芝が再び口を開いた。「あなたたち、名古屋に戻るの?」
「あなたたち」という言葉は、明らかに林悠と冷川峰を一体として扱っていた。