冷川峰は冷川宴が階段を上るのを見送り、深いため息をついて、自分も部屋に戻って休もうとした。
そのとき、冷川廷深が外から帰ってきた。
「おじさん!」冷川峰は挨拶をして、彼の方へ歩み寄った。今日の金田鎖の様子がおかしかったことを思い出し、何か言うべきだと思った。
近づいてみると、冷川峰は異変に気づいた。冷川廷深は疲れ果てた様子で、大きなクマを作り、何日も眠っていないように見えた。
「おじさん、大丈夫?」彼は心配そうに尋ねた。「昨夜は眠れなかったの?」
「ああ」冷川廷深は体を引きずるように歩き、極度の疲労感を漂わせていた。「死ぬほど眠い。先に寝るよ。お前も早く休みなさい」
階段を上りながら、彼は何かを思い出したように立ち止まって言った。「そうだ、中佐に昇進したって聞いたよ。おめでとう」
「ありがとう、おじさん」突然祝福されて、冷川峰は少し嬉しくなった。「おじさん...帰ってきて鎖に会ったんだけど、彼女の様子があまりよくないみたい。時間があったら彼女と一緒に過ごしてあげて」
冷川廷深の足取りが一瞬止まり、しばらくしてようやく「わかった」と返事をした。
冷川峰は眉をひそめ、冷川廷深と金田鎖の間に何か問題があるような気がした。
彼が部屋に戻りシャワーを浴びた後、林悠からメッセージが届いていた。
【お兄さん、今日は本当にありがとう。メダルとても素敵だったよ。昇進おめでとう、中佐さん。おやすみなさい!】
冷川峰はそのメッセージを何度も読み返してから、急いで返信した。【島子、おやすみ!】
たった一つの何気ないメッセージだったが、冷川峰の心は蜜を食べたように甘く、寝ている間も口元に笑みを浮かべていた。
翌日、金田鎖のつわりはまだひどく、林悠は彼女に付き添って婦人科病院へ行った。
「田村先生、何か症状を和らげる方法はありませんか?」林悠は心配そうに尋ねた。「彼女は今、何も食べられないんです」
「では、薬を処方しますので、まずはそれを試してみてください」田村園子は続けてアドバイスした。「普段は、食事が取れないときはバナナやリンゴなどを食べて、淡白な食事を中心にするといいでしょう」
「わかりました。ありがとう、田村さん」林悠は処方箋を受け取り、金田鎖に行けることを示した。