第70章 藤堂淑美が慈善パーティーで大騒ぎする

皆が振り向いた。

林悠は顔色を変えた。彼女は藤堂淑美が来るとは思っていなかった。

道理から言えば、このような場では、藤堂淑美は招待されるはずがない。ただし…彼女が冷川宴の義母という立場でなければ。

案の定、陣内冷子が積極的に迎えに行った。

「お義母さん、ようこそ!」

林悠の記憶が正しければ、これは陣内冷子が初めて藤堂淑美をそう呼んだ。

「奥様、お久しぶりです」藤堂淑美は感謝の涙を流すような様子だった。

林悠は藤堂淑美の出現が何を企んでいるのか分からなかった。彼女は林美芝を見ると、林美芝の口元にかすかな笑みが浮かんでいるのが見えた。

藤堂淑美は陣内冷子に挨拶した後、お爺さんの方を向いた。

「お爺様、この5億は受け取れません。どうか返してください」

冷川お爺さんは眉をしかめた。「このお金は、あなたに渡したわけではない」