「林美芝は承諾しました」と林悠はゆっくりと口を開いた。「一週間で、彼女は自分の状況を整理して、美智を迎えに来るそうです」
林美芝が承諾することは予想していたものの、林悠からそう聞いて、澤田楠雄はようやく安堵のため息をついた。「ありがとう」
「何のお礼を言うんですか」林悠は横目で彼を見た。「澤田先輩は本当に美智を手放す覚悟ができているんですか?」
澤田楠雄はしばらく黙り込んだ後、苦笑いして言った。「古人も言ったでしょう、親が子を愛するなら、その子のために長い目で計画を立てるものだと。私には彼女を手放したくないなどと言う資格はないんです」
「では美智はどうでしょう?」林悠には美智が澤田楠雄に深い愛情を持っていることが見て取れた。「彼女は喜んで行くでしょうか?」
「彼女はまだ小さくて、わからないんです」澤田楠雄は小さく笑った。「父親である私が無責任ではいられません」