第331章 私は林美芝を何度か助けたことがある

深田確が入るとすぐに雰囲気がおかしいことに気づき、彼は無意識に冷川峰を見た。

「深田確、島子から話してもらおう」冷川峰は立ち上がり、美智の手を取った。「美智、ここでテレビを見ようか?」

「いいよ」美智は深田確を一目見て、おとなしく冷川峰の隣に座り、一緒にテレビを見始めた。

林悠と金田鎖は一緒に深田確を寝室に呼んだ。

「どうしたの?」深田確は不思議そうに尋ねた。「林美芝がそんなにあっさり美智を返してきたの?」

林悠は首を振り、金田鎖と一緒に事の顛末を説明した。

「深田確、あなたが以前、美智がおかしいと言っていたのを覚えてる」林悠は心配そうな顔をして言った。「私、怖いの...」

深田確は彼女の意図を理解した。「彼女が第二の林美芝になることを恐れているの?」

林悠はうなずいた。「他に方法はないの?この子がこんなに深い考えを持っているなんて思わなかった」

「彼女を私と一緒に基地に戻らせてください」深田確は突然提案した。「あなたたちが林美芝に対抗するなら、彼女に準備させてはいけない。美智を隠さなければならない。彼女を私と一緒に基地に連れて行こう。そこは安全だし、誰も彼女を見つけることができない」

林悠はまだ少し心配そうだった。「それでいいの?彼女はあなたたちとあまり親しくないし、基地に行くことであなたたちに迷惑をかけないかしら?」

「彼女が必要としているのは、慣れ親しんだ環境や頼れる人ではない」深田確の目に賞賛の色が浮かんだ。「彼女が林美芝についていく勇気があるということは、この子が誰よりも勇敢だということだ」

「確かに」金田鎖は思わず同意した。「彼女は島子と一緒にいることもできたのに、そうしなかった。この子は...確かに少し怖い」

「任せてください」深田確の目が輝き、前例のない挑戦に出会ったと感じた。

林悠は少し躊躇した後、うなずいた。「深田確、お願いします」

「彼女は宝物だ」深田確の声には興奮が隠れていた。

相談の後、みんなはリビングに戻った。

林悠は美智の隣に座った。「美智、今夜から深田おじさんと一緒に基地に行くのはどう?」

「島子おばさんは私を要らないの?」美智は林悠を見て尋ねた。「どうして?」

林悠が話そうとしたとき、深田確が首を振るのが見えた。