茶館で、林深と林悠は個室を予約した。
「おじさん、何か分かったことがあるの?」無駄話なしに、林悠は本題に入った。
林深は眉をしかめた。「林悠、君は一体何を知っているんだ?」
林悠は答えず、ただ林深を見つめ、自分の質問への回答を待った。
「がっかりさせるかもしれないが」林深は口元を引きつらせた。「何も見つからなかった」
やはり。
林悠は歯を食いしばった。林美芝は何の手がかりも残さないだろう。彼女が絶望感に襲われたとき、林深が続けて言った。「でも、そうであればあるほど、逆に問題があると思うんだ」
林悠は驚いて彼を見た。
「可能性は二つしかない。一つは我々が考えすぎているということ、もう一つは…」林深は言葉を切り、ゆっくりと口を開いた。「犯人は私と君の叔母の身近にいる人間だということだ。その人物は音もなく手を下し、証拠も音もなく消すことができる」
林悠の心臓は一瞬のうちに喉元まで上がった。彼女は緊張して尋ねた。「じゃあ、おじさんは…疑っている人はいるの?」
「君が美芝を疑っていることは分かっている」林深は林悠を審査するように見た。「でも美芝は私たちの娘だ。彼女にはこんなことをする理由がない」
一瞬、林悠はすべてを暴露したい衝動に駆られたが、それでも抑えた。
彼女は林深に尋ねた。「じゃあ、おじさんはこれからどうするつもり?このままにしておくの?」
「もちろんそんなことはしない。私は調査を続ける」林深の目の奥の決意は揺るがなかった。「真実を、みんなが納得できる真実を見つけ出す」
林悠はうなずいた。それが一番いい。
彼女は最後にもう一度林深に注意した。「おじさん、林美芝を疑うかどうかは別として、彼女にあなたがこの件を調査していることを知られないように気をつけて」
林深は苦笑した。「君は昔、美芝の後をついて回るのが大好きだったじゃないか?なぜ今彼女をこんなに警戒するんだ?冷川宴を彼女に奪われたからか?」
「おじさんが私を神経質だと思おうが、林美芝に嫉妬していると思おうが、私の言ったことを覚えておいてほしい」林悠はなおも主張した。
「わかった」林深は約束した。
二人が別れた後、林深は家に戻ったが、思いがけず林美芝がいた。
「お父さん、おかえり」林美芝は笑顔で近づき、林深の表情を観察した。「どこに行ってたの?」