金田鎖と冷川峰は顔を見合わせた。
「安心してください、彼女を起こしたりしません」林深の口調には哀願するような響きがあった。
金田鎖はその瞬間、胸を打たれた。今目の前にいる林深は、まさに愛する人を失ったばかりの老父親であり、中にいるのは彼の娘だった。
たとえ林深が真実を知らなくても、彼女には二人の関係を妨げる権利はなかった。
「わかりました、林おじさん、どうぞお入りください。私たちは外で待っています。何か必要なことがあれば、呼んでください」
林深はうなずき、ドアを開けて中に入った。
近づいてみると、確かにその子の目尻は湿っており、枕にも小さな涙の跡があった。
林深は理由もなく胸が痛み、懐から小さなハンカチを取り出し、そっと林悠の涙を拭いてあげた。
病室の外で、金田鎖と冷川峰はその光景を見て、二人とも鼻の奥がつんとした。