第154章 死刑執行人の実力を見せてやる

冷川峰はお構いなしに、人を引っ張って医務室へ向かった。「今日は必ず行くんだ。これは交渉の余地がない」

「いいよ」深田確は怒りのあまり笑った。「私の能力を見せてやろう。何が処刑人か」

冷川峰の顔色が変わった。

深田確は続けた。「あの女性のうつ病は深刻なのか？軽症なのか？じゃあ、私がどれくらいの時間で彼女を重症にできるか当ててみる？」

「深田確！」冷川峰はついに足を止めた。

なぜなら彼は深田確が言ったことを実行することを知っていたし、深田確には確かにその実力があった。

深田確がシステム全体で名を轟かせているのは、彼がかつて全員を喝采させると同時に恐怖させる事をしたからだった。

当時、冷川峰はまだ海外にいて、連続殺人事件を担当していた。犯人があまりにも残忍で狡猾だったため、現地の警察は彼らに助けを求めてきた。

その後、彼らはその犯人を捕まえたが、証拠不足のため重い刑を科すことができなかった。

誰もがその犯人は死刑に値すると知っていたが、彼が自由の身でいるのを見るしかなかった。

その犯人は極めて残忍で、悔い改める気持ちは全くなく、さらに彼らに何度も挑発してきた。

冷川峰はその時、チームの多くのメンバーが心理的サポートを必要としていたことを覚えていた。深田確も徐々に事件の全容を知るようになり、その後、犯人に心理的サポートを提供することを提案した。

皆は困惑し、怒りさえ感じたが、深田確は頑固だった。

冷川峰は彼のために申請を通した。

わずか1ヶ月、深田確はたった1ヶ月で犯人にすべての罪を白状させ、その後半月で、犯人は刑務所で自殺した。

だから、冷川峰は深田確が言ったことを実行することを知っていた。彼は深田確の腕を放し、ほとんど懇願するような口調で言った。

「彼女は母親で、お腹に二人の子供がいて、ちょうど事故に遭ったばかりなんだ…」

深田確は立ち去ろうとする足を止め、振り返って冷川峰を見た。「お前が子供を作ったのか？」

「俺の子じゃない」冷川峰は少し困ったように言い、再び頼んだ。「彼女を助けてくれ」

深田確の表情はさらに興味深いものになり、明らかにこのような状況を予想していなかった。その後、彼はそれ以上何も言わず、先に医務室の方向へ歩き始めた。

冷川峰はようやく安堵の息をつき、急いで追いかけ、道中で林悠の状況について簡単に説明した。