第189章 冷川宴、もう愛していない

今日は元旦、冷川家の旧邸はにぎやかだった。

林悠が着いたとき、冷川廷深、冷川天晴がいるのを見つけ、さらに林深と林美芝もいた。冷川宴だけがいなかったので、彼女は少し尻込みした。

「島子が来たの？」陣内冷子は人を見るとすぐに熱心に迎えに行った。

林悠は気まずそうに口元を引きつらせた。「おじいさんに会いに来ました。」

「さあ、入って。おじいさんはちょうど眠ったところだから、起きたら上がりなさい。」陣内冷子は人を招き入れ、冷川峰に目配せした。

「島子、入りなよ。昼食はここで食べていきなよ。」冷川峰は声を低くして言った。「おじいさんのためだと思って。おじいさん最近食欲もあまりよくないんだ。」

「わかった。」林悠はすぐにリビングに案内された。

陣内冷子はまた台所に行って昼食の準備を指示し、冷川廷深と林深は将棋を指し、冷川天晴と林美芝はリビングで話していた。

冷川峰は林悠の後ろに立ち、小声で尋ねた。「僕の部屋で少し座っていく？」

「島子、こっちに来て座りなさいよ。昨晩のショーでは私たちちゃんと話す機会がなかったわね。」思いがけず冷川天晴が進んで前に出て、親しげに林悠の腕を取ろうとした。

林悠は横に一歩避け、冷たく言った。「あなたとは話すことなんてないわ。」

彼女は冷川峰を見て、「大丈夫？」と尋ねた。

「もちろん。」冷川峰は林悠を連れて階段を上がった。

冷川天晴は気にしていないようで、また林美芝の隣に座り、嘲笑するような目で林美芝のお腹を見た。

林美芝は歯を食いしばり、同じように冷川天晴のお腹を見た。

二人は同時に冷笑し、視線を外した。

「どうするつもり？彼女に産ませるの？陣内冷子の態度も見たでしょう。もし彼女が本当に男の子を産んだら、陣内冷子が寝返らないとは限らないわ。」冷川天晴が先に口を開いた。

「陣内冷子の態度が重要？宴は私と結婚するつもりよ。誰が寝返ろうと関係ないわ。」林美芝は自信満々だった。

冷川天晴は笑って首を振った。「冷川宴が林悠の妊娠を知ったら、まだあなたと結婚すると保証できる？」

「絶対するわ！」林美芝は歯ぎしりした。

冷川天晴はこの話題を続けず、意味ありげに言った。「でも彼女も本当に遠慮がないわね。こうして峰について階段を上がるなんて、まるで...二人がすでに恋人同士みたいね。」