第49章 私は一度も本当に自殺したことがない

林悠は翌日、朝食を済ませると病院へ向かった。

黄田珠美がどんな人であれ、林美芝に対する彼女の態度には、いつも文句のつけようがなかった。

「おばさん、調子はどうですか?」

林悠は黄田珠美の病状について尋ねたが、彼女はいつも大したことはないと言うばかりだった。それなのに、こんなに長く入院していた。

「大したことはないわ」

黄田珠美は少し口角を引きつらせた。彼女は林悠の包帯で巻かれた右手首を見ると、瞬く間に目が赤くなった。

「こっちに来て、おばさんにその手を見せてごらん」

彼女は鼻をすすり、なんとか感情を抑えようとした。

「もう痛くありませんよ」

林悠は素直に近づき、右手を黄田珠美の手の上に置いた。

「数日で抜糸できますから」

彼女は笑いながら言ったが、黄田珠美の目に浮かぶ心配そうな表情に少し辛くなった。