林悠は翌日、朝食を済ませると病院へ向かった。
黄田珠美がどんな人であれ、林美芝に対する彼女の態度には、いつも文句のつけようがなかった。
「おばさん、調子はどうですか?」
林悠は黄田珠美の病状について尋ねたが、彼女はいつも大したことはないと言うばかりだった。それなのに、こんなに長く入院していた。
「大したことはないわ」
黄田珠美は少し口角を引きつらせた。彼女は林悠の包帯で巻かれた右手首を見ると、瞬く間に目が赤くなった。
「こっちに来て、おばさんにその手を見せてごらん」
彼女は鼻をすすり、なんとか感情を抑えようとした。
「もう痛くありませんよ」
林悠は素直に近づき、右手を黄田珠美の手の上に置いた。
「数日で抜糸できますから」
彼女は笑いながら言ったが、黄田珠美の目に浮かぶ心配そうな表情に少し辛くなった。