第349章 私が最初から最後まで愛した人はあなただけ

冷川宴は無意識に身をかわした。

「何をするの？」林悠は嫌な予感がして、口調も非常に悪くなった。「これは私の息子じゃないの？抱っこもできないの？」

「抱っこしたいのか、それとも...」冷川宴は目を伏せて林悠を見た。「それとも彼を奪いたいのか？」

「奪う？」林悠は本当に怒りで笑ってしまった。「まさに泥棒が泥棒と叫ぶようなものね。冷川さん、あなたが最初にどうやって予安を連れ去ったか忘れたの？」

冷川宴は一瞬黙り込み、ようやくゆっくりと口を開いた。「予安は今夜、私が連れて帰る」

「冷川宴！！！」一瞬で、林悠はほとんど狂いそうになった。「よくそんなことが言えるわね？あなたのせいで、今日予安はあやうく...」

彼女は一歩前に出て奪おうとした。「息子を返して」

冷川宴は簡単に避けた。「林悠、もうやめろ。予安を怖がらせるな。俺は子供をお前に渡すつもりはない」

「なぜ？なぜ？」林悠はヒステリックになった。

冷川宴は黙り込み、最終的に答えなかった。

彼は自分が過去にひどい間違いを犯したことを知っていた。彼は林悠を愛していて、彼女を諦めるつもりはなかった。彼は林悠と新たに始めたかった。

そして予安は彼が新たに始めるための唯一の切り札だった。予安が彼のそばにいる限り、林悠は完全に去ることはないだろう。

もし彼が予安を林悠に返したら、彼らに二度と会えなくなるだろう。

「息子を返して、お願い、返して」林悠は両手を合わせ、冷川宴に懇願した。

冷川宴は苦しそうに視線をそらし、林悠の目を見る勇気がなかった。「本当にダメだ。母さんが家で待っているんだ」

「宴...」冷川峰は横で見ていられなくなった。「今日、島子がいなければ、私たちはこんなにスムーズに予安を救うことはできなかった。君は...」

「誰が何を言っても無駄だ」冷川宴は明らかに決心していた。彼は鋼のような目で林悠を見た。「わかっている、過去は俺が間違っていた。だが、俺は永遠に子供たちの父親で、お前は永遠に子供たちの母親だ。それは変わらない事実だ。だから、息子はお前に渡さない」

「冷川宴、あなたは卑劣よ、極めて卑劣！」林悠は涙をぬぐい、名残惜しそうに予安を見つめた。

彼女は実はこうなることを予想していた。冷川宴は息子を手放すはずがなく、彼女を簡単に許すこともないだろう。