第354章 死ぬべき人は常に彼である

冷川宴が再び目を覚ましたのは翌朝のことだった。目を開けると、ベッドの傍らに伏せている陣内冷子の姿が見えた。

彼は慎重に起き上がり、急いで外に出て何か情報がないか確認しようとしたが、彼が動くとすぐに陣内冷子は目を覚ました。

「宴、起きたの?少し良くなった?」陣内冷子はすぐに心配そうに尋ねた。

「うん、だいぶ良くなったよ。もう大丈夫だから、お母さんは早く帰った方がいいよ。利田特別補佐に送らせるから。」冷川宴は素早くベッドから降り、とても急いでいる様子だった。

陣内冷子は彼の手を掴み、言いかけては止める様子だった。

「お母さん、もう何も言わないで。林悠を見つけるまで、僕は帰らない。」冷川宴の口調は依然として固かった。

「宴、お母さんはあなたに帰るよう説得するつもりじゃないの。」一晩考えた末、陣内冷子は現実を受け入れていた。冷川宴が林悠を探すのを諦めることはないだろう。

彼女は優しく冷川宴の手を取り、心配そうに自分の最も誇りに思う息子を見つめた。「お母さんはただ一つのことを約束してほしいだけ。それさえ約束してくれれば、どれだけ長く探しても、お母さんはもう止めないわ。」

「何?」

陣内冷子はため息をついた。「あなたが人を探すなら、罪を償うなら、少なくとも自分自身を大切にして。お母さんに約束して、これからは毎日きちんと食事をして、きちんと寝るって、いい?そうしないと、林悠を見つけても、どうやって彼女の面倒を見るの?どうやって彼女に幸せを与えられると信じられるの?」

冷川宴は少し考えてから、ようやく頷いた。「わかった、お母さん。約束するよ。ちゃんと自分の面倒を見るから。」

「いい子ね、ありがとう。」陣内冷子は再び軽く冷川宴を抱きしめた。「じゃあお母さんは帰るわ、気をつけてね。」

彼女は振り返り、一歩一歩外へと歩いていった。

「お母さん!」冷川宴は突然、震える声で呼びかけた。

陣内冷子は振り返って彼を見た。

「お母さん、ごめんなさい。息子はお母さんを失望させてしまった。」冷川宴は頭を下げ、陣内冷子の表情を見る勇気がなかった。「でも林悠を見つけなければ、一生自分を許せないと思う。」

「お母さんは分かってるわ、全部理解してる。」陣内冷子は鼻をすすり、涙をこらえた。「いいのよ、自分を大切にして。私と予安は、家であなたを待ってるから。」