美智は林悠が来たのを見て、すっかり元気になった。
「どうしたの?風邪引いたの?」林悠は心配そうに小さな子の頭を触ってみた。まだ少し熱がある。
「わからない」小さな子は首を振った。「でも大丈夫、ママが注射して、お薬飲めばすぐ良くなるって」
「そうだね、すぐ良くなるよ」林悠は優しく彼女の布団をかけてあげた。
彼女は少し不安だった。美智がこんな時に病気になれば、林美芝はM国に行かない言い訳ができるのではないか?
だから、これが林美芝の仕業だと疑わずにはいられなかった!
彼女はもう少し美智と一緒にいてから、立ち上がって帰る準備をした。「林美芝、ちょっと出てきて」
林悠は廊下に人を呼び出した。「あなたがやったの?」
「何が?」林美芝は不満そうな顔をした。「自分で美智に聞いてみたら?私が虐待したかどうか」
林悠は眉をひそめた。「美智をいじめたなんて知らない方がいいわよ!」
警告した後、彼女は立ち去ったが、病院を出ても、この件は林美芝と無関係ではないと感じていた。
しかも、彼女はほぼ確信していた。次に冷川宴がM国行きを提案したら、林美芝はまた同じ手を使うだろう。美智をこんな風に振り回させるわけにはいかない。
考えた末、林悠はタクシーで冷川氏に向かい、冷川宴に会った。
「どうしてここに?」冷川宴は本当に林悠が来たことに少し驚いた様子だった。
「林美芝はあなたとM国に行きたくないの?」彼女は単刀直入に言った。
冷川宴は眉をひそめた。「何が言いたいんだ?」
「さっき病院で美智に会ってきたわ。彼女は確かに今は離れられない状態だけど…」林悠は提案した。「専門家を国内に呼べばいいじゃない?そうすれば行ったり来たりする必要もないし、いいんじゃない?」
冷川宴は目を細めた。「君は…僕が彼女と子供を持つことを望んでいるのか?」
彼は不機嫌そうな顔をしていて、それに満足していないようだった。
「私はただあなたたちが美智をちゃんと世話してほしいだけ。他のことのために彼女を振り回さないで」林悠はこれ以上言いたくなかった。
彼女がここに来てこんなことを言ったのは、冷川宴が林美芝の仮面を完全に剥がすことを期待してのことではない。ただ林美芝が美智を利用して何かをすることを望まないだけだった。