第341章 私たちは生きて出られるのか

このとき、冷川宴と利田燃も到着した。

「冷川社長、利田隊長はあちらです」利田燃は足を踏み出そうとしたが、冷川宴がついてこないことに気づいた。

彼は引き返して、「冷川社長、行きましょう、向こうへ行きませんか?」

「やめておこう、林悠があそこにいる。彼女は...きっと私に会いたくないだろう」冷川宴は深くため息をついた。「利田隊長をここに呼んでくれないか」

「はい、すぐ行ってきます」利田燃は冷川宴を慰めたかったが、何を言えばいいのか分からなかった。

彼は首を振り、走って利田隊長を探しに行った。「冷川社長がお見えになりました。利田隊長、一緒に来ていただけますか」

「ああ、行こう」利田隊長の顔には冷や汗が流れていた。今日人質になった子供の身分は本当に並大抵のものではないようだ。名古屋一の富豪が自ら来るほどだ。

利田燃はためらいながら、林悠に挨拶した。「林悠さん!」

「利田特別補佐」林悠は物思いから引き戻され、数歩前に進み出た。「利田特別補佐、ご苦労様でした」

利田燃は首を振った。「大丈夫です。生きて帰れただけでも天の恵みです」

彼は林家の方向を憎々しげに見つめた。「残念ながら、彼女に隙を与えてしまいましたが、絶対に逃げられません。私が生き残れたということは、天が見ていることの証です」

「ええ」林悠はうなずいた。

利田燃はためらいながらも続けた。「冷川社長も来ています。あちらです。彼はあなたが会いたくないだろうと思って...近づく勇気がないのです」

林悠の表情が変わった。彼女は今、冷川宴の名前さえ聞きたくなかった。「彼のことは、私には関係ありません」

「林悠さん、私は社長があなたに申し訳ないことをしたのを知っています。でも今回のことは」利田燃の表情に苦痛が浮かんだ。「彼もあなたと同じくらい苦しんでいます。林悠さん、もし可能であれば...」

「利田特別補佐、さっきも言いましたが、彼のことは私には関係ないし、聞きたくもありません」林悠は冷淡に林家の方向を見た。「もし他に用がなければ、お引き取りください」

「わかりました、林悠さん。では失礼します」利田燃は深くため息をつき、利田隊長と一緒にその場を離れた。

利田隊長は言いよどみながら尋ねた。「林悠さんは子供のお母さんで、冷川宴さんは子供の...お父さん?」