第111章 かつてない窒息感

林悠は目を赤くして病室に入った。

冷川峰はすぐにそれに気づき、近づいて小声で尋ねた。「どうしたの?宴は何か言ったの?」

「もういいよ」林悠は声を低くした。「お兄さん、私と冷川宴のことはもう終わりにしましょう」

彼女は自分と冷川宴が本当に同じタイプの人間ではないと感じていた。冷川宴はあまりにもビジネスマンすぎる、冷血で、子供が好きではない、彼女とはまったく違う。

でも彼女が心を動かされた時...彼はそんな人ではなかった。

林悠は冷川宴と初めて会ったのは高校3年生の時だったことを覚えている。

彼女は名古屋大学の予備校に通いたかった。名古屋大学は全国でもトップクラスの大学で、芸術系の専攻は業界でも一流だった。

当時、藤堂淑美は彼女が名古屋大学に入れるとは思っていなかった。淑美の目には、林美芝だけが名古屋大学にふさわしいと映っていた。