第145章 宴、もう逃亡兵になるな

「島子はどうだった?」冷川宴は質問に答えず。

「私の質問に答えろ」冷川峰は追及し続けた。

冷川宴は携帯を取り出し、立ち去ろうとした。

冷川峰は彼の行く手を阻んだ。「この質問に答えるのはそんなに難しいのか?たとえ林美芝が当時お前を救ったとしても…」

「兄さん!」冷川宴は冷川峰の言葉を遮った。「脱走兵が当時のことを評価する資格はないでしょう」

脱走兵という言葉を聞いて、冷川峰の顔から血の気が一瞬で引いた。

冷川宴は彼を押しのけた。

冷川峰は彼が遠ざかるのを見ながら、ゆっくりと口を開いた。「島子は大丈夫だ」

冷川宴は電話をかけようとした瞬間に切り、代わりに林美芝に電話をかけた。

相手はすぐに出て、林美芝の弱々しい声が聞こえてきた。「宴?あなた?」

冷川宴は眉をひそめた。「どうしたんだ?」