第361章 これからずっとお兄ちゃんと一緒に遊ぶ

全員が息を殺し、二人の子供たちを見つめていた。彼らの想像では、冷川予安が林予寧を突き飛ばし、彼女を追い払うはずだった。

しかし、冷川予安の漆黒の瞳は林予寧を見た瞬間に固まり、ただ静かに彼女を見つめるだけで、何の動きも見せなかった。

「お兄ちゃん、このキャンディの包み紙が開けられないの？」小さな予寧は目を細めて言った。「私が開けてあげる」

小さな女の子は手慣れた様子で、歯で包み紙を開け、透き通ったキャンディを手のひらに置き、再び小さな予安に差し出した。「お兄ちゃん、どうぞ、すごく甘いよ！」

岡田詩織はため息をついた。彼女は全てが終わったことを知っていた。予安は絶対に予寧のキャンディを食べないだろう。なぜなら予安は深刻な潔癖症があり、他人が触れたものは一切口にしないからだ。

ましてや予寧のよだれがキャンディについているかもしれないのだから。

岡田詩織は苦笑いしながら前に進み出た。彼女が予寧を呼び戻そうとした瞬間、目の前の光景に驚愕した。

「なんてこと！」傍にいた子供たちまでも思わず驚嘆の声を上げた。

小さな予安が予寧の手のひらからキャンディを取り、それを口に入れたのだ。彼の目は予寧を見つめたまま、まるで…

岡田詩織は眉をひそめ、ある四字熟語を思い浮かべた。「久別重逢」。もしかして二人の子供は知り合いなのだろうか？

しかし彼女はすぐにその推測を否定した。結局、冷川予安はずっと名古屋で育ち、林予寧は名古屋に来たばかりだ。二人の子供が知り合いであるはずがない。

「お兄ちゃん、甘い？」小さな予寧は相手が自分のキャンディを食べたのを見て、たちまち喜びで泡立った。

彼女はさらに数歩前に進み、小さな予安の顔を見上げて言った。「お兄ちゃん、本当にきれいだね」

小さな予安は実はキャンディが好きではなく、甘いものも好きではなかった。しかし、なぜか目の前で自分をお兄ちゃんと呼ぶこの小さな女の子を拒絶することができなかった。

小さな女の子は自分から彼をきれいだと褒めたが、彼は心の中で静かに思った：君の方がもっときれいだよ、いや、君が一番きれいだ。

「おめでとう、予寧ちゃん」岡田詩織はタイミングよく二人の子供の側に歩み寄った。「幼稚園に来た初日にもう良いお友達ができたね」

彼女は優しく小さな予寧に尋ねた。「予寧ちゃん、これからも予安くんとお友達になりたい？」