冷川宴はすぐに冷川峰に電話をかけ、深田確に会いたいと言った。
「いいよ、俺が約束を取り付けようか?それとも彼の電話番号を教えようか?」冷川峰は特に驚かなかった。彼から見れば、二人はいずれ単独で会うことになるだろうと思っていた。
「自分で約束するよ」冷川宴は少し考えてから言った。
彼は電話番号を手に入れるとすぐにメッセージを送った。【深田確さん、こんにちは。私は冷川宴です。一度お会いしたいのですが。】
深田確はすぐに返信した。【構いませんよ。明日なら時間があります。】
二人が時間と場所を決めた後、冷川宴は再び冷川峰に電話をかけた。「兄さん、深田確が会うことを承諾してくれたよ」
「わかった。明日は俺も少し顔を出すよ。顔を見せたらすぐに帰るから」冷川峰はまだ少し心配していた。一人は彼の親友で、もう一人は彼の弟だ。二人があまり激しく争うことは望んでいなかった。
「うん、時間と場所を送るね」冷川宴は電話を切り、冷川峰にWeChatでメッセージを送った。
病室に戻ると、陣内冷子はすでに荷物をまとめていた。「島子は帰ったの?」
「うん」冷川宴は予安を抱き上げた。「さあ、予安、帰ろう。お父さんがおばあちゃんの家に送って行くよ。夜にまた迎えに行くからいい?」
予安は小さく頷いた。「お父さん、早く迎えに来てね。妹とビデオ通話したいんだ」
「わかったよ」冷川宴は子供を実家に送り届けた後、会社に向かった。思いがけず、冷川ビルの下で一人の男性に出会った。
「冷川社長、こんにちは」松井致遠はここで半日近く待っていた。彼は冷川宴の電話番号を持っておらず、冷川氏に入れなかったため、ビルの下で待つしかなかった。「昨日は私の結婚式にご出席いただき、ありがとうございました。おもてなしが行き届かなかった点があれば、どうかご容赦ください」
「松井さん?」冷川宴は非常に驚いた。ここで松井致遠に会うとは思っていなかった。「私に用事ですか?」
「はい、冷川社長。ここで数時間待っていたんです」松井致遠は冷川宴の横について歩きながら言った。「予約がないと中に入れてもらえないと言われました」
冷川宴は淡々と言った。「それは会社の規則です。実際、私に会いたいなら、金田鎖さんから事前に連絡してもらえば良かったのに」