冷川宴は一瞬固まった。ドアを開けたのが小さな子供だとは全く予想していなかった。
彼は無意識に間違ったドアをノックしたのかと思ったが、それでも「林悠を探しています」と言った。
「あ、じゃあ、あなたのお名前は?」美智は真剣に尋ねた。
冷川宴は眉をひそめ、この小さな子が何をしようとしているのか分からなかった。
「島子おばさんに聞いてみないと。おばさんがあなたを知っていたら、中に入れてあげるから」美智の表情はとても真剣だった。
「そうか」冷川宴は間違ったドアではないと分かり、気分が良くなった。少し考えてから「彼女に、冷川峰のお兄さんが来たと伝えてくれ」と言った。
「はい」美智はドアを閉める前に、冷川宴に注意して言った。「冷川峰おじさん、ちゃんと待っててね。すぐ戻るから」