林悠は会社に着いてから現地視察に行くことを知ったので、靴を履き替えに帰る時間もなかった。
実はキャンディと新田露美子が履いている靴は彼女よりもさらに高かった。ファッション会社の従業員はほとんどがこういったことに非常に気を使っていたが、彼女は妊娠していたものの、問題ないと思っていた。
しかし予想外に、冷川宴は嘘をついていなかった。彼らの会社が選んだいくつかの場所はほとんど山の麓にあり、自然環境は良かったが、道は歩きにくかった。
最初の候補地を見ただけで、林悠は何度も足を捻りそうになった。
「島子」新田露美子は後ろから彼女にこっそり話しかけた。「先に帰った方がいいんじゃない?」
「大丈夫、頑張れるわ」林悠はこの機会を諦めたくなかった。
「わかったわ」新田露美子は微笑んだ。「でも気をつけてね。どうしても無理なら先に帰って。私がメモを取っておくから、後で共有するわ」