記者の言葉を聞いて、薄熠の顔の微笑みが一瞬止まった。
そして、授賞式の生中継を見ていた薄熠のファンたちも、この意味不明な記者の質問に怒りを覚えた。
【????????】
【主催者側は何をしているの?こんな記者をなぜ入れたの!】
【頭おかしいの?夏挽沅が薄熠に釣り合うわけない?記者は脳みそに障害でもあるの?】
【私の息子が質問に戸惑ってる、マネージャーはちゃんと私の息子を守れないの?】
「本当なのですか?答えられない理由でもあるのですか?」
薄熠が一瞬躊躇したのを見て、記者たちはスクープの匂いを嗅ぎつけ、すぐに追及した。
薄熠は再び笑顔を取り戻し、「僕も恋愛したいですよ、でも撮影で忙しくて、それに自分の実力がまだ足りないと思っているので、もっと勉強する必要があります。皆さん、どうか勘弁してください」
薄熠は許しを請うような表情をして、周囲の笑いを誘った。
薄熠のこの発言は、恋愛の噂を否定すると同時に、普段から演技力向上のために努力していることをさりげなくアピールしていた。
案の定、ファンたちは薄熠の言葉を聞いて、彼がこんなに頑張っているのに噂を立てられるなんてと同情のコメントで画面を埋め尽くした。
「夏お嬢さんとは確かに一度共演したことがありますが、それは仕事上の関係だけです。私は夏お嬢さんに対して失礼な考えは一切持っていません」
薄熠のこの言葉は非常に意味深だった。以前に二人の交際の噂が出た時、今薄熠が夏挽沅に対して何も思っていないと言ったことで、当時の噂が誰によって広められたのかは言わずもがなだった。
【夏挽沅マジでありえない、どうしてこんなに厚顔無恥なの】
【やっぱり、私の男神様がどうして夏挽沅なんかに目をつけるわけないじゃない】
【絶対に夏挽沅が私の息子と話題作りのために噂を流したんだわ、吐き気がする】
知らず知らずのうちに、薄熠のファンはさらに彼に同情し、ファンの忠誠度はさらに高まった。一方で、夏挽沅のアンチはさらに増えた。
薄熠は新進気鋭の人気者で、一挙手一投足がネット上で波紋を広げる存在だった。
そのため、「薄熠が恋愛の噂を否定」というトピックはあっという間にリアルタイムの検索ランキングにランクインした。