一枚目の写真は小公主様で、瞳は澄み切り、無邪気そのもの。普段の夏挽沅が纏う涼しげな淡々とした雰囲気は影を潜め、人々の前に現れたのは極めて大切に守られた少女の姿だった。
そんな眼差しに、君時陵はあの日の花畑の下で、夏挽沅が顔を上げて花を見ていた様子を思い出した。状況は違えど、同じように澄んだ瞳だった。
三枚目は華やかな衣装を纏った皇妃の姿で、その目に宿る空虚さは見ていられないほどだった。
君時陵はコメント欄を開いた。大半は彼女の美しさを褒めるものだったが、妬みのこもったコメントもあり、さらには「#夏挽沅は芸能界から出ていけ#」というタグまであった。
読み進めるにつれ、君時陵の瞳の冷たさは増していった。しばらくして、彼はウェイボーを閉じ、林靖を呼ぼうとした矢先、携帯の着信音が鳴った。
「陵ちゃん、明日帰ってきてくれないか?私はひ孫に会いたくて仕方がないんだよ。」
すでに一ヶ月半以上も君時陵と君胤に会っていない老爺は、家でずっと心配していた。夏挽沅の足が良くなったと聞いて、ようやく君時陵に電話をかけたのだった。
「おじいさん、明日帰ります。」
電話を切ってからそう経たないうちに、招かれざる客がソファに座っていた。
「おい、君だんな様、こんな大きな俺がここに座ってるのに見えないふりかい?」銀白のシャツを着た薄曉がソファに寄りかかっていた。
薄曉の性格を知っている君時陵は、相手にする気もなく、黙々と書類の審査を続けた。
この氷山のような君時陵に対して、薄曉もこれ以上無駄な努力はせず、海外から帰ったばかりの彼は、現在最も人気のあるモバイルゲームをダウンロードし、イヤホンをつけてプレイし始めた。
そして君時陵が家に帰る時、後ろにはもう一人のお供がついていた。
「少爺、薄曉少爺。」
「王おじさん、久しぶり。」薄曉は狐のような目を上げて微笑んだ。
「ほんの数日ですよ、薄曉少爺。」王おじさんは慈愛に満ちた表情で迎えた。
「まるまるちゃんはまだ帰ってないの?」薄曉は甘い言葉遣いが可愛らしい君胤が大好きだった。
「今日は早く下校して、小少爺はもう帰っていますよ。奥様と一緒に書道の練習をしているところです。」