第60章 国民の弟進行中

カメラとサウンドカードを全て準備し終えると、夏瑜は蘇枚たちに手を振った。「行って行って、自分のベッドに戻りなさい」

「はいよ、私はあなたの配信ルームの最初の視聴者になるわ」

ルームメイトたちは自分のベッドに戻り、夏瑜の配信ルームのIDを見つけた。そのため、夏瑜が配信を始める前に、自分を含めて4つのサブスクリプションを受け取っていた。

「配信始めるよ」夏瑜はマウスを持って配信開始ボタンを押そうとしたが、心の中ではまだ少し緊張していた。

「始めろ始めろ、夏瑜、お前は次の配信界のトップだ!俺はトップの部屋の仲間だぞ」

「じゃあ俺はトップの上の段ベッドだな」

みんなの冗談で夏瑜の緊張はだいぶ和らいだ。

「みなさん、こんにちは。配信者の小魚ちゃんです」

夏瑜がネットで配信のコツを検索したとき、他の人のリストには防音カーテンも含まれていた。学業優秀な楊臨の勉強の邪魔をしないように、夏瑜もカーテンを買った。防音効果はなかなか良かった。

【わぁ、配信者の声すごく良い!】

【配信者は世界一イケメン!】

【配信者大好き!】

【いけるわ】

夏瑜が話し終わる前に、コメント欄はすでに賑わっていた。夏瑜はバックエンドの視聴者数を無言で見つめた。実際の視聴者は全員この寮の中にいた。

ゲーム配信なので、夏瑜は顔を出すのが面倒だった。しかしプラットフォームによると、カメラをオンにすると人気が上がるとのことだったので、夏瑜はカメラを自分の手に向け、配信画面をスマホゲームに映した。

夏瑜のアカウントはあまりプレイしておらず、現在は星耀ランクにとどまっていた。

幼い頃からあらゆるゲームをプレイしてきた夏瑜は、王者栄耀というゲームをすぐに習得した。彼は高い爆発力と高いダメージを持つヒーローが好きで、アサシンを選んだ。

10分後、戦績は12-0-5。夏瑜が顔を上げて見ると、配信ルームのバックエンド視聴者数は5人だった。

つまり、実際の視聴者は2人だけで、それも本物かどうかわからなかった。

「なんでこんなに人気ないんだ?」夏瑜は防音カーテンを開け、頭を出して張哲に尋ねた。張哲は普段から配信をよく見ていて、詳しかった。