「あれ、今の人たち、君時陵のことを話してなかった?」
学生たちが通り過ぎると、蘇枚は驚いて声を上げた。
「そうだよね、君時陵がここに現れるなんて??さすが清華大學、マジやばい、君時陵まで呼べるなんて。」
夏瑜は彼らの会話を聞いて、ふとまるまるちゃんに会っていないことを思い出し、少し会いたくなった。
「まぁ、君時陵みたいな神レベルの大物は、この生涯で会えることはないだろうな」枚は口をとがらせた。「俺が今まで会った一番すごい人物って、前回ボランティアで会った市の幹部だけど、それだけでも長い間自慢できるよ」
「早く学校に戻らないと、このあと帰宅ラッシュに巻き込まれて、立ちっぱなしで帰ることになるぞ」
四人は足早に清華大學の門を出て、バス停で待っていた。
「タクシーで帰らない?」バスがなかなか来ないのを見て、楊臨が提案した。
「大丈夫だよ、もうすぐ来るはず。バスの方が経済的だし」枚は気楽に花壇の縁に腰掛けた。
臨はルームメイトたちが彼のことを気遣って、余計な出費をさせないためにバスに乗ろうとしていることを知っていた。そうでなければ、瑜たちの性格からすれば、とっくにタクシーで学校に戻っているはずだ。
臨は何か言おうとして口を動かしたが、最終的には何も言わなかった。しかし心の中の温かさは広がり、若者たちの間の友情を深めていった。
「ネットのニュースに出てるよ、今日君時陵が本当に清華大學で講演したって」
枚は退屈しのぎにスマホをいじり始め、「君時陵清華大學」というトピックがホットサーチで急上昇しているのを見つけた。
「大物のことなんか気にしてないで、明日の投資銀行学の宿題のことを心配したら?知ってるけど、まだ終わってないだろ?」
張哲のこの一言で、枚はすぐにウェイボーを見る気が失せた。「兄弟!!兄弟と言うからには、宿題を見せてくれないか?」
「ダメだ」
「おい張哲、それはないだろ。今後俺にゲームでランクを上げてもらおうなんて思うなよ」
二人がワイワイ言い合っている時、黒い伸長型ロールスロイスファントムがゆっくりとバス停の横に停車した。
周りの人々は静かになり、好奇心を持ってその車を眺めていた。
「夏ぼっちゃん、どうぞ車にお乗りください」
君家の運転手が夏瑜の前に来て、恭しく一礼した。