第120章 ついに代弁者を見つけた

倩秀は盛世グループ傘下の子会社で、当初夏挽沅を選ぼうとしたのも、本社からの情報があり、暗に示唆されたからだった。

しかし、この数日が過ぎても、本社からは夏挽沅が倩秀の代弁者になることについての情報は一切なかった。

先日、倩秀の責任者が探りを入れて尋ねたところ、相手は「通常通りに」と一言だけ返した。

これは裏工作は必要なく、夏挽沅はすでにあちらから見捨てられたということだった。

これで責任者も心理的な負担がなくなり、夏挽沅側に代弁の件で来なくていいと通知する準備をしていた。

しかし思いがけず、この数日間で挽沅の注目度が非常に高くなっていた。ライブ配信の出来事に加え、あの歌のおかげで、ネット上では挽沅のことばかりが話題になっていた。

商人は当然利益を追求する。倩秀の責任者はこれを見て、絶好の宣伝アイデアを思いついた。

ちょうど陳勻から電話がかかってきたので、倩秀の責任者は順風に乗じて陳勻を会社に呼び、契約に関するいくつかの事項について話し合った。

しかし契約締結の時期については、責任者は口実を設けて、陳勻に家で連絡を待つよう伝えた。

ネット上の議論と倩秀が雇った水軍を見ると、まさに労せずして倩秀は大きな広告費を節約できたのだ。

さらに水軍の誘導により、ネットユーザーには無意識のうちに「倩秀ブランドは非常に高級で、夏挽沅はこのようなブランドの代弁者になる資格がない」という考えが植え付けられていた。

陳勻は嬉しそうに夏挽沅に電話をかけた。倩秀が提示した報酬や条件はすべて非常に良いものだった。

「小」習慣的に「夏ちゃん」と呼びかけようとしたが、君時陵と夏挽沅の気まずい関係を思い出し、陳勻は言葉を止めた。一瞬、挽沅をどう呼べばいいのか分からなくなった。

「陳兄さん、以前と同じでいいですよ。私と君時陵の関係は複雑ですが、あなたが私を君夫人として扱う必要はありません。」

「ああ、そうだね。聞いてくれ、倩秀側の条件はかなり良いんだ。さっき話し合ったんだけど、明日倩秀に来てテスト撮影をしてほしいって。倩秀があなたのイメージに合わせてプランを作るためだよ。」

「わかりました。」

電話を切ると、挽沅はネットでファッションブランドの代弁者の写真をいくつか調べ、参考にしようとした。