第149章 城の最上階

君時陵は車から降り、まるまるちゃんを一気に引っ張り下ろして地面に置くと、夏挽沅に手を差し出した。

夏挽沅が君時陵の手に自分の手を重ねると、その触れ合う温もりに君時陵の心が揺れた。

挽沅はヒールの高い靴を履いており、さらにドレスの裾があまりにも大きかったため、馬車から降りるのが少し難しいことがわかった。

時陵はそのまま腕を伸ばし、挽沅を腰から抱え上げて降ろした。挽沅は小さく悲鳴を上げた。

時陵の支えで立ち直った挽沅は、頭の王冠を整えながら顔を上げると、時陵が彼女をじっと見つめていることに気づいた。

「どうしたの?」

「君、とても美しいよ」時陵は心から褒めた。

白いプリンセスドレスを着て、王冠を頭に乗せた挽沅には、気高く冷たい魅力があった。一挙手一投足が、この遊園地中の輝く灯りすべてを押しのけるかのようだった。

「あなたもとても素敵よ」挽沅も返した。

彼女は社交辞令ではなく、本当にそう思っていた。

先ほど着替えるとき、挽沅はスタッフから少し説明を受けていた。

このおとぎの楽園には、特別なお客様向けのサービスがあり、それは貴賓客に王子様やお姫様のような待遇を提供するというものだった。

だからこそ、先ほどのクリスタルの馬車や、専用のドレスと王冠があったのだ。

そして今日の時陵は、中世の宮廷貴族の衣装を身にまとっていた。白い透かし彫りのハンカチとシャツが黒いベストの下で特に目立っていた。

深紅の十字模様の騎士ブーツが膝まで覆い、長い脚を強調していた。膝丈近くまである上着の下で、非常に気品があふれていた。上着は金のボタンを留めず、ただ一本の純黒のベルトが緩やかに腰を締めているだけで、優雅で高貴な雰囲気を醸し出していた。

時陵はもともと権力者の立場に長くいたため、上位者の雰囲気を自然と身にまとっており、この貴族の衣装の気品を十分に表現していた。

「二人とも私のこと忘れてない?」小寶ちゃんが口をとがらせ、挽沅の注目を少し奪おうとした。

「さあ、入りましょう」挽沅は笑いながら小寶ちゃんの頬をつまみ、彼女の手を引いて前に進んだ。

城の外観はすでに壮麗だったが、内部はさらに華やかだった。

数え切れないほどの花々が取り囲み、周囲の壁には様々な浮き彫りが刻まれていた。最も目を引いたのは、ホールの中央にある螺旋状に城の最上階まで伸びる透明な階段だった。