第200章 アルバムの録音

秦塢も事務所からこの件を知り、すぐに夏挽沅に電話をかけ、彼が代わりに釈明すべきかどうか尋ねた。

しかし意外にも、夏挽沅の考えは唐茵と一致していた。

彼女は秦塢の申し出を丁重に断った。釈明というものは、実質的な裏付けがなければ、かえって事態を悪化させるだけだと。

「わかった。もし何か手伝えることがあったら、いつでも言ってくれ」夏挽沅に彼氏がいると知ってからは、秦塢は意識的に彼女との距離を置いていたが、それでも一度は心惹かれた相手だ。当然、何もせずにはいられなかった。

秦塢との電話を切ると、夏挽沅は唐茵に付き添われて夏月スタジオへ向かった。

「では、そのように決めましょう。ご安心ください、必ず最高品質の作品をお届けします」オフィス内で、陳參は目の前のマネージャーと楽曲制作について話し合っていた。

「よろしくお願いします。お見送りしましょう」ようやく非常に手ごわいマネージャーとの話がまとまり、陳參は内心ほっとした。

ちょうど相手を玄関まで見送ったところで、夏挽沅と唐茵がゆっくりと近づいてくるのが見えた。

バラのように鮮やかなあの馴染みのあるシルエットを見て、陳參だけでなく、彼の隣にいた李江も驚いて立ち止まった。

「唐茵？！」

かつての敏腕マネージャー唐茵を知らない人はいなかった。六年前に芸能界を揺るがした決裂事件は、移り変わりの激しい芸能界ではもう話題にもならなくなっていたが、彼らのような芸能界のベテランたちの心の中では、唐茵の印象はまだ非常に鮮明だった。

「お久しぶりですね、陳ディレクター」唐茵は気さくに陳參に手を差し出し、陳參はそれと握手した。

夏挽沅を見て、また唐茵を見て、「これはどういう...？」

「今は夏お嬢さんのマネージャーをしています」

「まさか唐さんが芸能界に戻ってくるとは思いませんでした。夏お嬢さんは次の芸能界の神話になるかもしれませんね」陳參は意味深げに言った。

「陳ディレクターのお褒めの言葉、恐縮です。せっかく遠くからやって来たのですが、お茶でも一杯いただけませんか？」

「ははは、失礼しました。どうぞどうぞ、中でお話しましょう」陳參はようやく外で彼女たちと長話をしていたことに気づき、急いで夏挽沅と唐茵を中へ案内した。