【期待期待、またイケメンや美女を見る時間だ。】
【『長歌行』はまだ放送終わってないのに?どうして授賞式のリストに入ってるの?】
【データが良かったからだって。秦塢が久しぶりにレッドカーペットを歩くのを見るのが楽しみ!スーツ姿の彼にまた心を奪われちゃうわ。】
【沅沅のレッドカーペット姿が楽しみ!!また美女の営業が見られるなんて、時間の流れが遅すぎる、今すぐ授賞式の時間になってほしい!】
通常、このような授賞式イベントには、ファン席が用意されている。しかし、有名人が多すぎるため、これらのファン席はチケットの入手が非常に困難だ。
夏挽沅のファンたちが現場で応援するためにチケットを取ろうと気づいた時には、すでに完売していた。
「大変だ、他の人はみんなファンの応援があるのに、私たちの沅沅には誰もいないなんて!」
ファングループの管理人は心配のあまり、すでに何本もの髪の毛が抜け落ちていた。中年ファンにとって、アイドル追いは本当に大変だ。
——
夏瑜は数人の教師から八対一の個別指導を受け終わり、頭がぼんやりしていた。彼は誓った、もう二度と夏挽沅を連れて遊び回ったりしないと。
彼はまだ怪我をしていたため、教師たちは早めに帰った。夏瑜はドアを開け、階下を見て君時陵がいないことを確認すると、一階に降りて飲み物を取りに行った。
一口飲んだ直後、夏瑜は本能的に後ろを振り返った。少し離れたソファに、君時陵が静かに座っていた。
君時陵の冷たい視線と目が合い、夏瑜はコーラを噴き出しそうになったが、君時陵を気にして必死に飲み込んだ。
「げっぷ」夏瑜の心の中では草泥馬が一万頭駆け抜けた。もう二度とコーラは飲まないと誓った!!
「こっちに来なさい」君時陵が口を開いた。
夏瑜はこれから叱られるのだと悟り、心が弱くなった。一歩一歩ソファの端に移動して座ると、君時陵から冷気が溢れ出しているのを感じた。
「義兄さん、もう二度と無茶はしません!!」
君時陵が口を開く前に、夏瑜は先に謝った。
君時陵が言おうとしていた言葉は、夏瑜の「義兄さん」という一言で喉に詰まった。
「いいですか?約束します!!間違ってました、義兄さん」
夏瑜は君時陵と親しくなろうとしただけで、この「義兄さん」という一言が彼を救ったとは思いもしなかった。