その頃、あるショッピングモールでブランドプロモーションに参加していた阮瑩玉は、ステージ上でブランド関係者と記念撮影をしていた。
「はい、チーズ」カメラマンの掛け声で、皆が笑顔を浮かべた。
ただ瑩玉だけは、何か様子がおかしいようだった。
「阮さん、大丈夫ですか?」瑩玉の隣にいたブランド関係者が心配そうに尋ねた。
瑩玉は落ち着こうとしたが、体の中で何万匹もの虫が這い回っているような感覚で、まともに息もできなかった。
大きく息を吸っても、胸がまだ苦しく締め付けられる感じがした。
両手も自分の意志とは無関係に動き、皮膚の下の筋肉が絶えず痙攣していた。わずか数秒のうちに、瑩玉はその場に崩れ落ち、周囲の人々は慌てて救急車を呼んだ。
そして瑩玉の異変の様子は、現場にいた人によって撮影され、ネットに投稿された。
【これって薬物中毒の発作じゃない?】
【うわぁ怖い、彼女の体の肉が動いてるみたい、ああああ、気持ち悪い。】
【結局、薬物に手を出したのは阮瑩玉だったの??それで使った後の検査紙を夏挽沅のゴミ箱に捨てるなんて、最低すぎるでしょ。】
瑩玉を擁護しようとするファンもいたが、顔を出した途端に大勢に叩き返された。
夏挽沅も唐茵から電話を受け、この件について知らされた。
実は、あの時ウェイターがお酒を運んできた時点で、彼女は何か変だと感じていた。だからウェイターが恥ずかしくて顔を上げられない隙に、こっそりグラスを取り替えていたのだ。
挽沅は睡眠薬のようなものだと思っていたが、瑩玉の考えは彼女の想像よりもさらに悪質だったようだ。
まあ、これは自業自得というものだろう。
——
オレンジプラットフォームは最近、恐れと喜びが入り混じった状態だった。
謎の大物が突然、プラットフォームへのスポンサー提供を申し出てきたのだ。しかもその金額はプラットフォーム全体を買収できるほどの額で、幹部たちは総出でこの大口スポンサー案件について検討することになった。
プラットフォームを恐れさせたのは、大物の要求が非常に単純でありながら、とても奇妙だったことだ。
大物は『私はスターだ』のスター日常生活パートを見たくないという。理由は、好きではないから。
ふふ、なんて気まぐれなんだろう。