第260章 会社の倒産

ホテルの中で、一晩中乱れに乱れ、午後になっても目覚めていなかった王社長は、謝柔を抱きしめながら甘い眠りについていた。携帯の着信音が次々と鳴り響いていた。

謝柔が小さく唸ると、王社長の興奮が再び高まり、彼女の体に口づけを始めた。電話は執拗に、まるで命を催促するかのように鳴り続け、王社長は手を伸ばして携帯を取り、いらだちながら電話に出た。「もしもし?何だって?!!!」

さっきまでだらけていた王社長は、一瞬にして冷や汗を吹き出し、急いでベッドから飛び起き、服を着るなり外へ走り出した。後ろで柔が呼んでいても応じなかった。

大規模な世論の圧力の下、そして当局がこの種の社会的詐欺事件に注目する中、すべての音楽プラットフォームは柔のアルバムを配信停止にした。

損失を最小限に抑えるため、音楽プラットフォームはアイデアを思いつき、柔のアルバムを購入したすべてのユーザーに二つの選択肢を提供した。一つは返金を選ぶこと、もう一つは夏挽沅のアルバムで柔のアルバムを代替することで、この場合は料金は返金されない。

各大手音楽プラットフォームを驚かせたのは、なんと90%ものユーザーが二番目の方法を選んだことだった。

結局のところ、柔のアルバムの曲は、みんながメロディーが良いと思って買ったものだ。そして挽沅の声は柔よりも比べものにならないほど美しい。こう考えると、みんな自分が得をしたと感じ、喜んでアルバムの交換に同意したのだ。

一瞬のうちに、各音楽チャートのトップは柔から挽沅へと変わった。

スターメイキングエンターテイメントは今や大混乱に陥っていた。上級当局からの調査、音楽プラットフォームからの損害賠償、各ブランドからの契約解除要求、そして特に悪質な社会的影響を引き起こしたため、会社所属の多くのアーティストも次々と契約解除を要求していた。

かつてはエンターテイメント業界でも名の知れた存在だったこの芸能会社は、わずか2時間のうちに崩壊してしまった。

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夏挽沅はお昼ご飯を食べておらず、とても空腹だった。一鉢の魚料理は、君時陵がほとんど箸をつけなかったため、すべて挽沅の胃袋に収まった。

「美味しかった。今度は小寶ちゃんも一緒に連れてこようね」挽沅は箸を置き、時陵が差し出したお茶で口をすすいだ。

「いいね」時陵は当然、次回も一緒に来ることを喜んだ。