第400章 ママ、パパがいじめる!

夏挽沅は国家台が華国ではとても権威があることを知っていた。なぜなら、それは公式の主流を代表しており、多くの芸能人は国家台の番組に出演できることを誇りに思っていた。たとえそれがエンターテイメント番組であっても。

ましてや、毎晩7時に全国で30分間放送されるこのようなニュース番組となると、芸能界だけでなく、君時陵のような国に対して巨大な影響力を持つ大富豪だけが、その中で専門の報道を持つ資格があった。

夏挽沅がその中で一席を占めることができたのは、国がここ数年で人々の環境保護意識を喚起しようとしていることと切り離せなかった。最近の数十年間の急速な経済発展は環境に大きな被害をもたらしており、ちょうど夏挽沅というきっかけがあったため、国家台は彼女を切り口として、植林の重要性を公衆に宣伝していた。

「ママ!!あの絵、あなたが描いたものじゃない??!!」その夜、君時陵は早々にテレビをつけ、ニュース報道を見ていた。

夏挽沅が絵を描くとき、小寶ちゃんはよく傍らで付き添っていたので、一目で分かった。

「うん」夏挽沅はうなずいた。

「ママ、どうして彼らはあなたをおじいさんって言ってるの?」ニュースで古稀に近い原晚夏師匠と言われているのを聞いて、小寶ちゃんは目を丸くした。

嘘だ!彼のママは若くて美しいのに。

「彼らは間違えているの。そのうち分かるわ」夏挽沅は笑った。おそらく外の世界では、絵の上手な人は年配だというイメージがあるのだろう。

君時陵は隣の夏挽沅を見た。彼女は国の権威あるニュースで称賛されても少しも傲慢な感情を見せず、相変わらず蓮のように清らかだった。

まさにこのような落ち着き払った態度だからこそ、あのような閑雅な境地の絵が描けるのだろう。君時陵は毎日、夏挽沅が以前よりもさらに良くなっていると感じていた。

テレビでの夏挽沅についての報道はすでに終わっていた。小寶ちゃんは大きな目を開いて、まだ夏挽沅についてのニュースがないか見ていたが、突然大きな手が彼の目を覆った。

馴染みの松の香りがして、小寶ちゃんは怒り心頭で「パパ、なんで僕の目を覆うの!」と叫んだ。

そのとき君時陵は夏挽沅と短く優しいキスを交わしていた。小さな団子のもがきに気づき、君時陵はすぐに夏挽沅から離れた。