第104章 映画館

竹籠を二つ買うと天秤棒が一本おまけでついてきて、真理子はちょっとした得をした気分だった。

二つの竹籠を担いで角を曲がると、さっと身を隠して宝珠の異空間に入り、瞬時に後ろの峰へ移動した。意念を使って山ぶどうをたくさん摘み取り石台の上に置き、また二つの竹籠いっぱいに詰めて担いで出てきた。彼女はまだ思うがままに物を取り出すことはできず、目標をしっかり定めてからでないと、外界と空間内部をうまく繋げることができなかった。

二籠の山ぶどうは七、八十斤ほどの重さがあったが、真理子が担いでも苦にならなかった。それでも彼女は年相応の様子を装い、頭を下げて背中を丸め、時に速く時にゆっくりと前へ進んだ。

コンクリートの橋を渡ると市街地に入り、人通りが増えてきた。小さな女の子が黒くて瑞々しく新鮮な山ぶどうを担いで道端を歩いているのを見て、人々は驚きの声を上げた。まず自転車に乗った幹部風の男性が止まり、真理子に声をかけた。

「お嬢さん、そのぶどうはどこで手に入れたの?」

真理子は本当なら相手にしたくなかった。「どこで手に入れたのか」って、何て質問の仕方だ。まさか盗んできたとでも思っているのか?

しかし商売は愛想よく、丁寧に答えるしかなかった。「山で摘んできました。今年最後の山ぶどうです」

「おや?本当に野生のぶどうか。素晴らしい!今年はもう手に入らないと思っていたのに、まさか出会えるとは。ちょっと、お嬢さん、二十斤ほど売ってくれないか?酒を漬けたいんだ!」

幹部は自転車を立てかけ、四つのポケットがある中山服から布袋を取り出して広げた。「本当は今日、食糧油公司で米を買うつもりだったんだが、忘れてしまった。この袋が別の用途に使えるとはね!」

真理子は言った。「おじさん、私は秤を持っていないんです。私のぶどうは房で売っています。この一房もけっこう大きくて、七、八両はあると思います」

「じゃあ一房いくらなんだ?」

「三角です」あのおばあさんが言っていた通り、珍しい品種だから三角でないと手放せない!

「三角?お嬢さん、それは高すぎるよ!」