第115章 つけたら、外せない

黒田俊均はやはり並の人間ではなく、たとえ相手が身分や地位のある大人であっても、受け身になって他人の指示に従うようなことはなかった。まして目の前にいるのは子供だ。

少女が彼に話があると言うので、大崎健太についてのことだろうと思って彼女についていったが、彼女の指示通りにコンクリートの台に座るようなことはしなかった。

「お嬢ちゃん、私たちはもうすぐ県庁所在地に戻らなければならないから、時間がないんだ。話があるなら聞かせてくれるかい」と俊均は優しく言った。

真理子は内心焦っていた。彼女が恐れていた状況になってしまった。俊均は素直に「従う」つもりはないようだ!

どうすればいいの?彼は背が高くて立派な体格をしているのに、真理子の今の身長は140センチにも満たないだろう。一緒に立っていたら、届かない!

神力を使って彼を抑えつけ、無理やりお守りを付けるべき?11歳の少女が20歳の鍛え上げられた軍人を押し倒すなんて、暴力的すぎないだろうか?周りにいる大人の男性たちが見ていたら、トラブルになるのでは?

振り向くと大崎健太が顔を曇らせているのが見えた。真理子は何かを思いつき、彼の方を意味ありげに何度か見た。この行動は見事に全員の注目を集め、真理子は小声で俊均に言った。「みんなに聞かれたくないことがあるの。黒田兄さん、少し向こうに行ってもらえない?あそこの麗花の木の後ろで」

俊均はしばらく考えてから、うなずいて承諾した。

いとこのことなら、知っておくべきだろう。

こうして、ある部隊のエリート骨幹は11歳の少女が仕掛けた罠にはまってしまったのだ!

これは衝撃的で深く考えさせられる教訓だった!

現場で一部始終を目撃した三和光太も軍人だったが、この出来事以来、彼は固く信じるようになった。どんな人も物事も表面だけで判断してはならない、どんなに弱々しく見える小さなものでも危険性を秘めているのだと!