前世でも飛行機に乗ったことはあったけれど、密閉された旅客機と、今目の前で真っ直ぐ上昇していくヘリコプターは全く別物だった。真理子は何も問題が起きないとわかっていても、思わず手すりをしっかりと握りしめ、心臓がドキドキと乱れ打ち、しばらくして落ち着いた。
飛行機はゆっくりと高度を上げ、一定の高さに達すると安定して飛行し始めた。真理子は外の暗い夜空を見つめながら、やっと思考を整理し始めた。さっきジープに乗っていた時、大崎健太は飛行機のようにうるさく、絶え間なくしゃべり続け、東京についての様々なことを彼女の頭に詰め込もうとしていた。彼女は混乱してしまった。
いずれは東京に行くつもりだった。実際、夏休みに行こうと計画していて、もう少し時間に余裕があるはずだった。でも計画通りにはいかないもの。黒田家という口実があるなら、行けばいいじゃない。流れに身を任せるのがちょうどいい!
飛行機はある空港に着陸した。真理子はここがどこなのかわからなかったが、とにかく東京の領域内だろう。彼女は東京に詳しくなかった。
彼女を迎えに来たのは黒田俊鎮と、大崎健太にそっくりなハンサムな青年だった。真理子は彼が誰かを知っていた。前世ではあまり接触がなかったが、この人は穏やかで優雅で、笑顔が温かく、自然と親しみやすい印象を与えた。健太の妖艶な雰囲気とは全く異なっていた。
大崎誠一は真理子の肩に手を置き、じっくりと彼女を見つめた。「君が私の長年離れ離れだった妹か?確かによく似ている!僕はお兄さんだよ!」
真理子は笑顔で頷いた。「錦兄さん!」
黒田俊鎮はコートのポケットに両手を入れ、兄妹の再会が終わるのを待っていたが、真理子の手を引いて自分の方に抱き寄せた。「正志兄さんって呼びなさいよ。こんなに久しぶりなのに挨拶もしないの?私が教えた礼儀はどこ行ったの?」
真理子:……
よくも言えたものね。
黒田俊鎮は今回彼女の三つ編みを引っ張らなかった。風で乱れた髪を見て、親切にも両手で整えてあげ、彼女の顔を両手で包み込み、期待を込めて言った。「鎌太が言うには、兄貴が君を呼んだんだって?君が来てくれれば、お爺さんが助かるって。君は…本当にできるの?」
真理子は彼の手を離した。「私は漢方医学を勉強したから、たぶんできると思う。まずは状況を見てからね。」