黒田家の長老がお茶を置いて話そうとした時、突然電話が鳴り、田原青山が受話器を取りに行き、田原おじいさんの方を見て言った。「お父さん、あなたへの電話です!」
田原おじいさんは受話器を取って数言葉を交わすと、申し訳なさそうに黒田家の長老と黒田お婆様に言った。「今日の日曜日もまた無駄になってしまったよ。ちょっと出かけなければならない。臨時会議が待っているんだ。」
黒田家の長老はそれに乗じて立ち上がった。「この頃は皆忙しいからね。私たち兄弟が顔を合わせられるだけでも上出来だよ。行っておいで、明日また来るよ。お嫂さんと青山が南部に行くなら、先に時間を決めておこう。軍用機がその方面に行くかどうか確認してみるか、それとも鎌太に迎えに来てもらうか。あの小僧はあの辺りに詳しいからね。」
黒田家の長老の手配により、田原おばあさんと青山は翌日の午後に軍用機に乗り、数時間後に莞市に直行した。本来なら田原青雲を頼るつもりはなかったが、夜になってしまい、青山は母親が深夜に道中を移動するのを忍びなく思い、大崎健太に指示して車を莞市の大院に直接向かわせた。
青山が同行していたため、田原おじいさんが当初予定していた三人の随行員のうち二人は減らされ、谷本さんだけが田原おばあさんに付き添うことになった。
田原青雲はまだ寝ておらず、灯りの下で書類を読んでいた。突然、母親と兄が来たと聞かされ、彼はまるで夢を見ているかのように呆然とし、立ち上がって部屋から飛び出し、椅子まで倒してしまった!
真理子の件は、最初の兆候から真相が明らかになり、現在に至るまで、彼は東京に電話をかけなかったわけではなかったが、母親はめったに電話に出ず、いつも父親が自分を叱責していた。しかし父親も彼に伝えていた:母親の体調は良好だから、心配する必要はないと。
彼は心の中で、母親が自分に怒っていることを理解していた!