おじいさんも薬材部屋から出てきて、真理子を急かした。「これは急病だし、身内のことだから、そんなに形式ばらなくていい。早く診てあげなさい!」
田原浩誠はすでに半分の高さの椅子を持ってきて、田原青雲の手を椅子の上に置いた。真理子が近づいて腰をかがめて彼の脈を診ると、すぐに体を起こした。
「真理子、あなた……」田原おばあさんは息子の顔色を見て、思い切って言った。「あなたの叔父さんはどうなの?」
「おばあさん、安心して。叔父さんは急性胃炎だけよ。薬を飲めばすぐ良くなります」
青雲は祖母と孫の会話を聞いて、真理子が「叔父さん」と呼ぶのに積極的なのを聞いて、絶望的に目を閉じた。胃の痛みがさらに増したように感じた。
「姉さん、じゃあ今から薬を煎じるの?」浩誠が尋ねた。
谷本さんが傍らで少し躊躇してから言った。「こんなに痛がっているなら、まず応急の薬を飲んだ方がいいんじゃないですか?私は小さな薬箱を持っていて、胃薬もあります」
青山は青雲に尋ねた。「じゃあ、薬を数錠飲んで、少し楽になるか?」
「飲まない!」青雲は頭を振った。心の中で、痛みで死んでもいいと思った。
真理子は薬材部屋に行って数種類の薬材を選び、おじいさんがそれを受け取って嗅ぎ、驚いた様子で真理子を見た。「これの中の一つは何の薬だ?うちにあったっけ?」
「この前、青牛山の野生のお茶林で見つけた数百年物のチャキセイよ。とても貴重なもので、私が自分で調合して特別な場所に保管していたの」
おじいさんはうなずき、キッチンに入って自ら薬を煎じに行った。
真理子が出てきて、薄く切った小さな薬の茎を浩誠に渡し、青雲に口の中で含ませるように言った。「これで痛みが和らぐわ」
わずかに苦味のある薬片を口に含むと、青雲はさわやかな香りと涼しさを感じた。すぐに甘みが広がり、口の中に唾液が湧いてきた。喉を通って飲み込むと、すぐに胃の灼熱感が消え、痛みが瞬時に軽減した!青雲の表情は和らぎ、体全体がリラックスした。まるで先ほどの激しい痛みが自分の身に起こったことではないかのようだった。